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第十回
今年の幕開けは、華やかなミュージカルという大舞台での仕事。稽古が始まってからは、今まで経験したことのないプレッシャーと緊張感、そして、舞台への恐怖心で今にも自身が潰れそうな日々を送っておりました。正直、枕を涙で濡らした夜もありました。涙を流すと、何故か少し楽になる。涙は人間の特効薬ではないだろうか。誰にだって悲しいことや、辛いことはある。その時は、無理せず涙を流してしまうのが一番自分を癒せる方法ではないか。そうすることによって、人は落ちついたり、楽になったりする。そう、至って単純。人間は単純な生き物なのだ。人が些細なことで喜んだりできるのは、普段辛かったり、キツかったり、しんどいことが多いから、ふと耳に残る歌や言葉で感動できたり、そこから生きる希望を感じ取ることができるんではないだろうか。
そう考えてしまえる今は楽だが、舞台が始まる前までは、そんな単純な考えさえも覆される毎日。そう、ミュージカルという異国の地へ足を踏み入れた男の、いや、お笑いの世界しか知らなかった男の運命とでもいうのだろうか……。毎日が挫折の連続。やったことのないタップを早急に獲得しないといけないプレッシャー。右も左も分からない状態の世界。三十路後半にして、仕事場から逃げ出すことを初めて考える。でも逃げ出せない……。瞳から流れる涙。私はふと思う。涙を流すその行為は、決して弱いからではなく、自分が自分の感情をきちんと把握するためなのではないだろうか? と。一度涙を流すことで笑顔になれたり、その人が前向きになれるのだったら、涙は素敵な存在だと思う。
そんな涙に頼りながら、いつも心にアムロ・レイの「やれるとはいえない、でも、やるしかないんだ!」の言葉を胸に、やりました。私。ミュージカルを! タップを! 歌を! ダンスを! 芝居を!(ミュージカル風に) 素晴らしいカンパニーに囲まれ、ミュージカルという化け物に立ち向かった。立ち向かえた1つの大きなきっかけは、宮本亜門さんの「このカンパニーは未経験の人も多く、みんなが不安を抱えながらやってます。でも、それぞれが『できるんだ!』と思いながらやれば、このメンバーでしかできない素晴らしい、今までになかった新しいミュージカルが誕生します! 皆さん、もっともっと、自分自身を下さい……」この言葉です。正に、私にとっては生きる希望の言葉となりました。そうだ……私だけではなく、紀香ちゃんや小松政夫さん、中村メイコさんや梅垣さんにしても、ミュージカル経験のない人はまだまだいたんだ……。
亜門さんのあの言葉と素晴らしいカンパニーとの出逢いで、東京公演1ヶ月! 無事、駆け抜けることができました。お笑いのフィールドでは、決して経験できない貴重な日々。2009年の幕開けに、また1つ、私は何かを得たような気がします。
ミュージカルでずっとご一緒させて頂いた、尾藤イサオさんと、川平慈英さん。この二人はよく喧嘩をしておりましたが、結局蓋を開けてみると、おっさん二人がじゃれているだけでした。まったく、仲がいいのか悪いのか、ややこしや~。

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1970年10月9日生まれ。大阪府堺市出身。
お笑いユニット「ザ・プラン9」一員。
第5回R-1ぐらんぷり(2007年)、
第6回R-1ぐらんぷり(2008年)二連覇。
『のだめカンタービレ最終楽章 後編』 絶賛公開中!!
【ザ・プラン9 イベント情報!】
『ザ・プラン9 結成9周年記念イベント~プラン9って9人じゃないんですか?~』
日程:9/19(日)21:00開演
会場:なんばグランド花月
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